溜息を一つ

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今朝起きると我が家の南東の角にある僕の部屋はオレンジ色。きれいな朝焼けだ。

僕は昨年から九州筑後元気計画という厚生労働省の雇用創出の事業に参加させてもらっている。

その多種多様の事業の一つとして行われているのが、これから起業をしようとしている団体や個人を対象とした起業支援の為の各種研究会。

ここでは起業の為のコンセプト作りから、商品開発、販売促進や広報などなど、必要に応じて様々な講師を入れて行っている。

僕もそのいくつかの研究会に講師として入っているのだが、いつも研究会が終わって一人になると何故かいつも大きな大きな溜息をついてしまう。

別に憂鬱な訳でもないし、うまく進んでいないわけでもないのに、何故なんだと思うし、昨日も講師で来て頂いていた井口さんに「なんで溜息なんです?」と言われたが。

多分、、多分だが、、、、、

その昔、勤めていた会社を辞めて持ち金を全部持って1年の旅に出て戻ってきた日本。

サラリーマン時代に旅に備えガンバって出費を抑えていた&旅の途中も出費を抑えていたため、まだ400万ほどの貯金はあったのだが、旅の途中で決めた「飲食店開業」の為の資金にはほど遠く、国金から借り、足りない分は機械をローンで購入して、、、とギリギリなんとか開業はできることになった。しかし手持ちの資金は全くなく、「最初の一週間で客が来なかったら仕入れの金もない」といういきなりの自転車操業状態での開店。

店舗にメニューにと頭をひねって素人ながら「これしかない!」と自信をもって作り上げた店だが、完成した店の客席に一人座って感じたのは喜びよりも「失敗したら人生おわっちゃうかも」という大きな大きな不安。

開店後は連日待ちが出る程の人気となり、とりあえずの山を越えたが、2ヶ月が過ぎ、客足が途絶えた。何故だという疑問と、やはり脱サラの男がつくる料理じゃだめなのか、、という不安で押しつぶされそうな気持ちの中、「接客」や「メニュー」に磨きをかけ、様々な仕掛けで徐々にお客さんは増えていき、1年後には週末は入りきれないくらいのお客さんで溢れる店になり、振り返ってみると結局、開店から11年で社員に店を譲るまで一度も赤字の月がなかったという幸運な飲食店経営をおこなうことができた。

しかし、商売は本当に難しい。僕らみたいな脱サラ組だけでなく、ホテルやレストランで何十年も修行して来た人も含めて、飲食店を開業した人のうち1年後に残っているのは10人に1人という。

怖いのは、この店を潰した9人というのは別に適当にやっていた人たちじゃなく、技術もあり、店もきちんとつくり、きちんと事業計画を立て、「万全だ!」と思っていた人ばかりだったはずだということ。だれも潰すつもりで店をはじめる人はいない。

飲食店開業にかかる資金は僕の町からちょっと離れたところにあったモンジャ焼屋で20坪で1000万ほど。様々な厨房器具が必要なレストランを敷金も家賃も高い天神なんかでやろうとおもったら同じ広さでも2000万、いや3000万。それだけかけて潰れた場合、莫大な借金を背負うことになる。そして飲食店経営者の借金は店が潰れたらかえしていこうにも、その返す金を稼ぐための店自体が潰れてしまっているのだから返すあてもない。開業資金プラス潰れたという事は、さらに負債もプラスされているはずで、そんな借金を背負って無職なるというのはまさに悪夢である。

商売をしている間中、店がいくら忙しくなっても、その不安は胸の中にずっとあった。

起業して成功するということは大変な事だ。あの頃の事は思い出しても胸が痛くなる。

だから、研究会で一つの商品の開発を楽しそうにやっている参加者達をみていると、日々の確実な進歩が嬉しいなあと思う一方、今はまだこれから登らなきゃいけない大きな険しい山の麓にいるどころか、まだ家を出る為にドアノブに手をかけたくらいのものだとおもうから、これから先の行程の長さを考えると思わず、、、、。

逆に既に計画が順調に進んで、さあ大量生産で売って行こう!とか、機械を入れ、店舗をつくり商売を始めよう!という段階の参加者を見ていると、「全て完璧に準備しても上手く行くかはわからない」という自分ではコントロールできない大きなリスクを負って今まさに船出する、あの頃の自分を見ているようで、思わず、、、、。

無意識の溜息なので理由を探すのは難しいのだが、僕の溜息の理由って、、そんなところだろうか。

こんな話をすると「浅羽さん!あいかわらず見事に後ろ向きっすね〜!」と友人に言われるだろうが、、、、うん、、、それは間違いではないね(笑)
by nocorita | 2010-09-10 09:26 | 島暮らし 仕事 | Comments(8)
Commented by えぞえ at 2010-09-10 19:09 x
お気持ちはよくわかりますw。
店主としての不安と一緒ではないだろうけど、これまで僕もたくさんの不安を経験しました。
そう見えてるかどうかは別にして、多分これからもそうだろうと思う。
でも、だからって、人は生きていかないといけないわけで、
生きるとなれば、人は大小の希望を携える必要があって。
その裏に、希望の大きさと比例したリスクが潜んでいても、
それは薄々わかっていても、僕らは前に歩を進めなきゃいけないし、同じ場所にじっとはできない。
僕の生業であるプロデュースは、クライアントに成功の保証ではないと伝えます。
あくまで成功の確率を上げるお手伝いだと。

ときどき人から、「あなたと話すと元気になる」と言われるけど、
結局少しでも希望が叶いそうなサポートができたら、いいんじゃないかなと思います。

で、最後に落ち着くのはいつもここ。
人は僕らが思っているほど、弱くはないかも知れない。ってね。

浅羽君のような優しい気遣いをしながら、これからも人を元気にできるといいですなあ。
お互い、頑張りましょう。

Commented by nocorita at 2010-09-10 23:41
>ezoeさん
長文ありがとうございやす。
さいきん頭がぐるぐるするんで、愚痴っぽく書いてみました(笑)
Commented by たっとの父さん at 2010-09-11 05:47 x
飲みが足りないんすよ笑
愚痴くらいいつでもどんだけでも若いもん(あ、もう若くないしかなりのおっさんですが笑)にはき出してくださいな♪
って、本来の意味の愚痴なんかいつも突っ走ってる浅羽さんには
ないのかもしれませんが・・・・
頼りにはならないですが、私で力になれるならといつでも思っていますよ(^^)/
なんか違う方向にコメントがいっちゃいましたか??笑
年末忘年会は絶対絶対やりましょう(^^)/
その頃にはうちの姫も落ち着いてるはずですから
Commented by nocorita at 2010-09-11 07:15
>まこっさん
「飲みが足りない」懐かしいっす。昔何かと言うと「飲みが足りないんだよ!」と言っては僕らを飲みに誘って、1軒目、2軒目と行って、そろそろ、、と僕らが言うたびに「飲みが足りないんんだよ!」と無理矢理次の店に連れて行き、朝まで飲みつづけるNヤンという同僚がいました。(笑)
なんだかんだで延期になりっぱななんで、日程をいまからバシッと決めとかないかんすね、飲み会。
Commented by KAZU at 2010-09-12 02:15 x
nocoritaさん、

僕も11年前に電機会社を辞めて、職のあてもなく、5歳の子供もいるのにオーストラリアに移住したときのことを思い出しています。「ひのえうまは、根拠のない自信がある」、と強がりを言っていますが、言葉も習慣もちがう国で、そもそも職にありつけるのか?あまりにも心配事が多すぎて、脳みそのキャパを超えてしまったため、逆にえいやっと・・・研究の仕事なんて、毎日新しいアイディアを出さないと生き残れないので、大変ですが、逆にそこが面白いところなんですよね。お店の経営も、きっと同じだとおもいます。
Commented by nocorita at 2010-09-12 10:01
>かずさんおひさしぶりでーす!
「ひのえうまは、根拠のない自信がある」。いやーびっくりしました。俺もこれ良く言うんです(笑)。なんでですかねえ?僕らの「ひのえうま組」は競争も少なく、さらに青春&就職がバブル期ということで、良く言えば「夢を語る事が許されていた世代」。悪く言うと「考えが甘く現実的でない世代」なのかな。受験も就職も楽で、だから「どうせやるなら面白い事やりたいし、おれにはやれる!」ってすぐ考えちゃうし、考えるだけじゃなくてやっちゃうから、変な人多いですよね(笑)
もちろん成功した人ばかりでなく失敗した人も多いとおもいますが、僕は「ひのえうま世代」を「波瀾万丈世代」と呼んでます
Commented by ツジ at 2010-10-05 13:16 x
九州筑後元気計画、文書力アップ講座ではお世話になりました。10年以上前、脱サラした当時のことを思い出します。確信もなく、反対されてもやってしまうこはあります。不安はなくならない。ならどうするか。不安を持ち続けても生きてはいける。ホントにそれでいいのか。カラダは実に正直。浅羽さんの言葉にならない思いに触れたようです。
Commented by nocorita at 2010-10-05 13:57
>ツジさん
こちらこそお世話になりました。江副さんの隣で頷いているだけの約だったようで、江副さんにも皆さんにもちょいと申し訳ないのですが、、、楽しかったです。自営業者ならだれでも絶対にもっている不安ですね。もちろん前に進むしかないし、そんな不安を前に進む力に変えていかねばといつも思ってますが、僕はそんなに強くないので、なかなか難しいです、、、またお会いしましょう!島へも是非あそびにきてください!


2009年春に能古島へ引っ越した僕らの仕事や生活の事


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